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#50 / March-April, 1998
 
 Are you ready to go back to TITANIC?
April 19th,1998 - 23:10 


その日も、なっちゃんの「華ちゃ〜ん、お天気お願いしま〜す」という一声で目が覚めた。毎朝欠かさず見ている「めざましテレビ」は、俺に一日分の希望と勇気を与えてくれる。これを見ないことには、俺の一日は始まらない(だから、休日は「おはよう」と挨拶する時間帯には起きることができない)。番組から八木さんを欠いたのは非常に痛いが、今はそのつらい出来事を回想することはとでもできそうにない。気持ちの整理がついたら、また今度じっくりとお話しよう。それはさて置き、お天気コーナーの華ちゃんは、いつものように額縁に入れて部屋に飾っておきたくなるような素敵なフリップを使って、楽しくお天気を伝えてくれていた。そして俺の今日の運命を決定付ける次のお言葉を発した。


「今日のお天気は全国的に快晴ですよ〜」


俺はこれを聞いた瞬間、急に会社に行く気を無くした。こんな気持ちの良い日に、しかも清々しい目覚めの朝に、会社になんか行ってられるか、と。 最初は軽く考えていたが、この想いはすぐに俺のハートを埋め尽くすほどに巨大に膨れ上がっていった。ワイシャツの第一ボタンを留めるところまでは、なんとか理性が歯止めを掛けていたが、「今日のわんこ」を見ている間に、その理性はもろくも崩れ去っていった。「キョウハカイシャニナンカイッテラルカ」。では、今日一日、何をしよう? 答えは言うまでもない。
こんな天気の良い日は映画だ。真っ暗闇の中で心行くまで映画を堪能し、すがすがしい太陽の光を体一杯に浴びながら映画館を抜け出て、たった今味わった感動を再確認する。その瞬間、俺は全身、至福に包まれる。生きていて良かったと思える数少ない瞬間だ。

こうして、俺は月曜日初回の「タイタニック」を観に行くことになる(^_^;。何せ、こいつを観ようと土曜日に近くの映画館に行ったら、これがまぁ、死ぬほど混んでいるのだ。指定席すら4月分は全て売り切れだという。俺は仕方なく、この時はダブルオーを観た(これはこれで観たい映画ではあったので、まぁ良しとしよう)。こういう話題作は平日に行くしかない。平日なら普通は空いている。これまでの俺の経験から言えば、月曜日初回は、たとえ人気のある映画でも空いているというのが常であった。しかし、この映画は違った。いや、とにかく混んでいた。周りに少年少女が多いことから、そういえば今は春休みなんだなーということを思い出す。クソ忌々しいガキどもめ、ちっとは勉学にいそしみやがれ。更にアカデミー賞受賞という宣伝文句につられたのか、もしくは年甲斐もなくレオナルド・デュカプリオのファンなのか、おばさん連中も異様に多い。ババァ、良い天気なんだから、布団でも干してろ。おまけにこの映画、リピーターも多いという。堪え性のない連中め、ビデオが出るまでガマンしやがれ。と、、、いう愚痴がこぼれるほど、とにかく混んでいる。何だ、この異様な加熱ぶりは? 「もののけ姫」も確かに混んでいたが、熱さのタイプがガラリと違う。これは何かあるに違いない。

「タイタニック」はご存知の通り、ジェームズ・キャメロンにオスカーをもたらした今世紀最大の話題作だ(規模としてはそういっても過言ではない)。とにかくこの映画、公開前から話題には事欠かない。
「タイタニック」は、公開前は映画関係者の間で、文字どおり「沈没船」と揶揄されていた。監督は前回、金を使いまくったにも係わらず、興行的にはパッとしなかった「トゥルー・ライズ」の監督、ジェームズ・キャメロン(*1)。これはマズい。。。 更に、その前に公開された大型海洋ロマンで、大ヒット間違いナシ!...と、公開前だけは騒がれていた、ケビン・コスナーの「ウォーターワールド」が、実に散々な結果で終わっていた(*2)。『「大型海洋ロマン」はヒットしない。』危険だ。。。 製作会社はさぞ身震いしたことに違いない。当然のことながら、キャメロンは湯水のごとく金を使いまくるだろう。キャメロンが試算する総経費を、これまでキャメロンと付き合っていた経験により、製作会社はまったく信用していない(*3)。今回も、「さすがにこれだけあれば大丈夫だろう」として準備された総費用が、最終的には、その2倍にまで膨れ上がった。その額、なんと2億ドル。それでも更に金が足りず、キャメロンは自分のギャラの一部を返上してまで、この映画を撮りつづけた(*4)。ヤバ過ぎる。。。

しかし、蓋を開けてみるとどうだろう。このヒートぶりにはマイケル・チミノもビックリ。アカデミーのノミネートを 14部門もかっさらい、その内なんと 11部門でオスカーをモノにしている。凄すぎる。とにかく、まだ観ていない人はゼッタイに劇場で観ることをオススメする。ビデオになるのを待とうなんて、死んでもしてはならない。俺も、もう一度劇場に足を運ぶつもりだ。というわけで、長くなり過ぎたので、この回は続編を用意しておく。それまでに、みんな、ちゃんと観ておくように。とにかく、日劇や新宿プラザのようなデカい劇場で観なきゃダメです、ウン。


*1 製作会社はこれを取り戻すのにキャメロンに「T3」を取らせようと画策した、、、というのは想像に難くない(^^;ホントか?)

*2 ケビン・コスナーはこの映画でかなり髪が薄くなった。それはまるでヤン・デ・ボン監督「スピード2」のシーチェイスで顕わになるジェイソン・パトリックの、ひろ〜いオデコのように。そこでコスナーは監督に要求し、現代の魔術、CGを駆使して頭髪を豊かにするようフィルムを編集させたという(^_^;。ウソのようなホントの話。でも、この効果はあまりなかったように見受けられる。コスナーファンの人は必見!(って、もう観てるか)

*3 テリー・ギリアムは「バロン」という映画を撮影するとき、そのすべての費用を最初のシークエンスですべて使い切った。そのシークエンスとは「女性の下着で作られた熱気球を飛ばす」というものだった(-_-;。つまり、監督の金銭感覚とはこの程度のものなのだ。

*4 あまりに制作費が掛かったので、製作会社の 20世紀フォックスはパラマウントに頭を下げて、制作費の一部を負担してもらう代わりに一部地域の配給権を譲渡した。この映画がこけたら、20世紀フォックスが潰れるのは時間の問題であっただろうとアナリストは口々にする。キャメロンのギャラは、後に、つまり「タイタニック」が空前の大ブームを巻き起こした後に、再びキャメロンの手に戻ることになったらしい。


ということで、みなさま、お久しぶりでした。いや、なんせ、かなりの時間を客先で過ごすもんだから、会社にくるとちゃんと仕事しないと(^_^;すぐに時間が足りなくなっちゃうので、更新が遅れること遅れること。「最初の誓いはどうした?」ってのは言わないでね(苦笑)。
 
 
 for limited gamers March 3rd,1998 - 3:15 


海外のゲームをやることが多い。いわゆる洋ゲー。これらのゲームには日本のゲームからは感じ取れない、「何か」を感じる。異文化の香りか、はたまた価値観のギャップの心地よさか、刺激を求めてついつい手を出してしまうことが多い。日本のゲームははっきり言ってヌルイ。バイオハザード2? お前、Fresh Feastを見たことがあるのか? そんな科白を、いつしか挨拶代わりとしている自分がいる。
しかし、あちらのゲームばかりやっていると、たまに自分の感覚が麻痺しているんじゃないかと感じるときがある。ここ最近、立て続けに買ったゲームを友人に見せたときの、彼の反応が、それをより深く感じさせる(彼はPSユーザで、私が最近嫌悪感を感じるようになったスクウェアのゲームをこよなく愛する)。特に、Quake IIを嬉々として説明する私に対して、「確かに凄いけども、こんなゲームは、とてもじゃないが妹には見せられない」と語った友人の言葉は、私に重くのしかかる。
よくよく考えると、私がここ最近買ったゲームは殺伐としたものが多い。Quake II、Carmageddon、Grand Theft Autoなど。恐ろしいことに、いずれも殺戮や強奪を主な目的とする。いつのまに私のココロはここまで荒廃してしまったのだろうか。先日、別の友人が遊びに来たときに、久々にパラッパ・ラッパーをやったが、自分がこれまで、手を出してきた洋ゲーとのあまりのギャップに、一瞬、頭がクラクラした。なんと平和的なことか。リズムに合わせ体をくねらせ、クールな歌詞を口ずさむ。私が、しばらく忘れていたものを思い起こさせる。こんな世界も、世の中にはまだまだ存在していたんだ、と。
しかし、今日も GTAの中で人の車を強奪し、逃げ惑う人々を恐怖のどん底に叩き落とす感覚に身を任せ、そしてそれを思いっきり楽しんでいる自分を、そこに発見する。手に汗を握り、睡眠時間という名の魂を削りながらも、プレーする欲求に負ける自分。これも、世紀末にはよくある一つの現象なのだろうか?

しばらくは非常に忙しいため、更新はあまり行わないかと思います。残業時間が 150時間まで後一歩。Voodoo2の日本デビューまで後2日。
 
 
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