むらたけん online


issue #46 / august 29, 1997



prev なぜに彼らは嫌われるのか?
M&A or not? その2
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度も言っているように、私は Microsoftが嫌いだ。but ところが しかし、正直言うと、私と Microsoftとの付き合いはかなり長い。私が MSのソフト(?)に最初に触れたのが小学4年生のときなので、実に 15年近い付き合いになる。
と、いうのもその当時、色々な「マイコン」に搭載されていた言語が MS BASICであり、電源を入れると立ち上がるのがこれであったのだ − 当時のマイコンは ROMに BASICを搭載しているものが多く(SHARP除く)、BASICインタプリタと OSとが混ぜこぜになっているのが極めて一般的だった。今考えると、なかなか凄まじい状態だが。

この話は続けるとかなり長くなるので、続きはまた別の機会にする予定である。

ここに告白するが MS BASIC(N88-BASIC - NECのパソコン PC-8801搭載の Microsoftからライセンス供給された BASIC)への私の愛着は骨の髄まで染み渡っている。私の少年期は確かに MS(と Z80を作った Zilog - 最近 KC-80という Z80アッパーコンパチの CPUが一部で脚光を浴びているらしい)と共にあり、この環境で作成したソフトは数多い(殆どゲームだけど)。



んな私が MSを嫌いになったのは他でもない、ビル・ゲイツがいることを知ってしまったからだ。ボルマーが会長なら、まだ嫌悪するまでのレベルにはならないと思う(彼は大人だ)。が、ヒルがヘッドな限り、私は一生 MSを嫌悪し続けることであろう。
その MSが、こともあろうに我らが Appleの株主となるとは。世も末とは良く言ったもんだ。私の愛読サイト「がんばれ!!ゲイツ君」で指摘している通り、実は今回の業務提携は表面上はこれといっためぼしい物はない。Appleに取っては MSと提携後、株価が上昇したという点で、なかなかおいしい思いをした。

が、しかし。 である。


何度も言っているように、私は Microsoftが嫌いだ。例えば、ナベツネが自社の社長になったら、あなたならどうする? 私のアンチ・巨人、アンチ・ベルディは彼の存在が原因の一翼を担っている。今回の Appleの提携とは、私に取ってはそれほどインパクトのある出来事なのだ。

が、また、しかし。 である。


Microsoftという会社ほど人に嫌われている組織も珍しい。そしてまた、ビル・ゲイツという人ほど人に嫌われている人間も珍しい。このマザコンの癇癪持ちと、それが運営する会社を嘲笑する Webサイトは数多く、それのジョークだけを集めた出版物まで存在する。なぜ? なぜ、そこまで嫌われなければならないのか? その理由を私なりに考えてみた。−なぜヒル&MSは嫌われるのか?− この自明な問いを探究することにより、少しでも私の中のアンチMS度を低めるのが、今回のメインテーマである。



の1:財産と知能はイコールではない

Oracleの会長兼 CEO、ラリー・エリソンはこう語る。「彼があれだけの財産を持っていることからも分かる通り、保有する財産と知能指数はイコールではないのだ」。
確かに(特に現代のアメリカでは)アイデアは恐ろしいほどの金を生む。アイデアは決して知性のみから生まれるものではないが、知性が高い分だけアイデアを創出する源泉をたくさん持っている。そして、知性を用いることによりアイデアはさらに磨かれ、修錬されていく。しかし、それは一発で「なんちゃら賞」(「お笑いマンガ道場」優勝経験は除く)を獲った漫画家と同じく、決して長続きはしない。延々と稼ぎつづけるには、知性とは別のファクターが必要に違いない。そして、それが知性ではないことをヒルは証明している。
誰がどう見ても二流のパソコンオタク(ハッカーでは決してない)でしかない人物が、世界で一番、金を持っている。このことへの嫉妬心から、人々は彼のことを嫌っている。今はほとんど表舞台に上がってこないウォズニアック(Appleのもう一人の創始者)とは対照的だ。
ただし、特筆すべき点が一つ存在する。それは男なら誰もが抱くジェームス・ボンドへの「嫉妬心」と、ヒルへの「それ」とは全くの別物なるゆえに、世の男供は彼にほんの少しだけ優越感を持っているということだ。


の2:デファクトスタンダードが良質なものとは限らない

かつて、ビデオテープには2つの種類が存在した。ベータと VHSだ。ベータは VHSより小型で画質も遥かに優れていた。しかし、結局ビデオ戦争に勝利したのは VHSであった。
Intelの 80x86系統の CPUと Motoloraの 680x0系統の CPUは、誰がどう見ても 680x0系統に軍配が上がる。しかし、現在市場を我が物顔に振る舞っているのは Intel勢である。Windowsと Macintosh、日本における NTと UNIXの関係もしかりである。
資本主義市場において、良質な物がスタンダードになるとは限らない。他のことには無能な人でも、少しの悪知恵と、良心を無くすことにより、人を騙して金持ちになることはいくらでも可能だ。ヒルはそれを体現している。でなければ、Word 97のようなリコールされるべき粗悪品を平気で市場に出荷できるはずがない。バグの修正パッチを「サービスパック」と称するような会社だ。「厚顔無恥」という単語は彼らのために存在するとしか言いようが無い。このことより、以下の命題はいずれも真となる。

・MSの Webサイトのヒット数と製品の問題箇所の数は比例する
・MSのソフトのインストール数と我々の残業時間は比例する
・MSのソフトの質とサポート人員の態度は比例する
・ヒルの幸福度と我々の幸福度は反比例する

なんと罪深い集団であろうか。これでは嫌われるのも無理はない。
しかし皮肉なことに、それは同時に我々に一つの夢を見させてくれる。以下の項に民主主義的賛同が得られないはずはない。
「皆が Wordを使っているから私も Wordを使おうという妄想を断ち切る方法を考案した人物にはノーベル平和賞を与えるべきである」。


の3:理由などない、生理的に受け付けない、とにかく嫌い

ま、結局のところ、嫌いなものは嫌いなのだ。御託をならべてもしょーがない。ビル・ゲイツと Microsoftに関して、より詳しい情報を知りたい方は、お手持ちの辞書より次の語句を参照のこと。
・会社に関するより詳しい情報: 横取り,搾取,非合理的,独占禁止法違反
・プロダクトに関するより詳しい情報: 不良品,欠陥品,まがい物,見せ掛け倒れ
・社員に関するより詳しい情報: 無能,タコ,詐欺師,職務怠慢,傲慢,オタッキー
お問い合わせはこちら。
米司法省,JARO,午後は○○おもいっきりテレビ(担当:みの)





うーむ、結局のところ、私のアンチMS度は低まること無く、逆に高まってしまうという、今回の主目的とは、全く逆の結果に陥ってしまったようだ。
ま、嫌いなモノを無理して好きになる必要はないのだ。私は一生トマトは食べれなくていい。



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