むらたけん online


issue #41 / april 30, 1997



prev タケウチクン
その1
next


生、四半世紀も生きていると、そろそろ世間の常識というか、世の中の法則なーんていうものに気づき始めたりします。「キャッチセールスはウォークマンをしていると近づいてこない」とか「局ドメの DM、安いけどハズレが多い」、「右の方々の街宣スピーチを決して、絶対に、笑いながら聞いてはならない」など。

そんな世の中の法則で、私が発見したある一つの法則をご紹介しましょう。それは、多分皆さんも「あるある」と、うなずいてしまう程度の代物なんで、ここでご紹介するのもお恥ずかしいのですが、まぁこれも何かの機会なので恥を忍んで告白します。 それは「タケウチクンと呼ばれる人は変わった人が多い」ということです。私は今まで数々のタケウチクンに出会って来ましたが、「うん、この人は普通のタケウチクンだ」と納得できるタケウチクンには、まだ一度たりとも出会ったことがありません。

初のタケウチクンとの出会いは、まだ私が小学生だったころ。そのタケウチクンは小柄な人物で、生まれてこのかた「前へならえ」で、腕を前に突き出したことが無い、というのが彼の唯一の自慢でした。体格差が大きかったせいか、私は彼によくキン肉バスターを掛けていました。今から考えると恐ろしいことをしたもんだと、内心恐怖します。彼が首の骨を折ったりしなかったのは、ひとえに彼の小柄さと、その柔軟な体が幸いしたのでしょう。

そんなタケウチクン、その小柄さゆえか「目立ちたい」という欲求が人一倍旺盛でした。当時、我々の間では「花火戦争」なるものが夏の風物詩として盛んに行われており、私もよくこれに参加したものです。花火戦争とは2チームに別れた「軍団」が、ネズミ花火や煙幕といった「撹乱系」花火を用いて相手を撹乱させながら、ロケット花火や15連発といった「飛び系」花火で敵軍団を攻撃するという、それはまことに夏の情緒たっぷりでエキサイティングな、文字どおり熱い戦いでした。私は一度、ドラゴンと呼ばれる上方向にシュワーっと火花を広げる美しい花火を、逆さまに設置して相手を撹乱させる作戦に出たものの、飛び立った後にとんでもない動きを見せるドラゴンの、その火花のシャワーをもろに浴びて、髪をチリチリにして帰宅して親にぶん殴られた経験があります。それはさておき、タケウチクン。何を思ったのか、戦争中にロケット花火を林立する団地方向に向け、何連発もぶっ放しました。これには我々も驚きを禁じ得ませんでした。民間人を巻き込むなど、軍人としてはもってのほか、と、当時はこの程度にしか考えていなかったのですけれども。そして、恐ろしいことにこのロケット花火の一発が、たまたま運悪く窓を開けて夏の夜を静かに涼んでいた平和なご家庭を直撃。悪いことは重なるものです。このロケット花火は最後に爆発するタイプのものだったのです。ことは町内あげての大問題に発展しました。

夏休みにも関わらず、学級連絡網を通じて、次の日には全校生徒が集められ、緊急朝礼が行われることに。その朝礼のとき、校長先生が「我が校の生徒は、こんなことは絶対にしないと、先生は強く信じている。しかし、こんなトンでもないことは、間違っても絶対に真似しないように...」と訓示をタレているまさにそのとき、何を思ったのかタケウチクン、「はーい、もうしませーん」と叫び、黙っていればバレなかったかもしれないこの事件の真相が明るみに。この時以上のひんしゅくを、私はこれまで買ったことがありません。

彼の目立ちたがりは授業中に特に光り輝いていました。真っ先に「はーい」と手を挙げるも、「僕にはわっかりっませーん」と叫んで笑い出すのです。いいかげん先生も指さないようにはするのですが、どうしても指さなくてはならない状況というのが、年に1回ほどありました。父兄参観日です。彼のこの目立ちたがりはこの時にいかんなく発揮されました。あの時の恩師内田先生のタケウチクンを指すときの顔は、いまをもって私、忘れることが出来ません。。。たまに夢に出ます。(つづく)





ということで、久しぶりにデザインを変えてみましたが、いかがでしょうか? よりシンプルになりましたが、決して手を抜いているわけではありません。まぁ、ゴテゴテとしたホームページへのアンチテーゼとでも言っておきましょうか(なんのコッチャ)。内容で勝負!...出来ればいいんですけどねぇ、これが一番大事だったりするんですが(苦笑)。


backnumber  mail service  current


mindware
ken ishii; echo exit
underworld; pearl's girl [tin there]
underworld; second toughest in the infants
ともさかりえ; un


IHFC ご意見、ご感想はこちらまで
mailto:yy2k-mrt@asahi-net.or.jp


about