むらたけん online


issue #45 / august 11, 1997



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M acintoshという PCは面白い PCだ。macを使うユーザーは、その多くが「伝道者」と化す。私が macを使い始めた理由も、草の根 BBSで熱心な信者−mac使いは、時としてこう呼ばれる−に薦められたからだ。これは他では見受けることのできない、mac特有の現象だ。Windows(95/NT)使いから「winは最高にエキサイティングだ、楽しい、君にもこの良さを味わって欲しい」などと薦められて winに手を染めた人を、あなたは知っているだろうか? Linux使いから「Linuxは良い、まさか X-Windowが自宅で動くような時代が来るとは」という話は聞いても、「だから君もこの良さを味わって欲しい」と薦められたことがあるだろうか?(これはありそうだな。。。私は日本語環境の構築に挫折してから全く手を触れていないが) AMIGAは身の周りで見かけるのすら奇跡に近いし、OS/2は...まぁ止めておこう。最近は Intel版も開発されたらしい BeOSなんて選択肢もあるが、私はどうも好きになれない。最近はかなり攻勢を仕掛けているようだが(まーぱや MTMには BeOSの Public Previewがついているが、かなり前に DR 8.3をいじり倒したので今更欲しいとは思わない)。機能や性能は、それは良く出来ているとは思う。しかし、何というか人を引き付けるものがないような気がする。アラン・ケイやスティーブ・ジョブス、ビル・アトキンソンは一つのビジョンとして Altoや mac、HyperCardを創造した。私が macに心躍らされるのは、これらの創造物を通じて彼らの「思想」がヒシヒシと伝わってくるからであり、決して凄い性能に引かれているから、ではない。ルイス・ガゼーはグルでもなければビジョナリーでもない。所詮、技術屋に過ぎない。
まぁ、それはともかく、最悪なことに技術力は欠けるが卓越したマーケティング能力で売れてしまった winは macに非常に似せて作ってはあるが、その本質はまるで違う。これは両者を使う者であれば、誰しもが思うことだ。winは振り回されることが多いが、macは振り回すことができる。winは使われることが多いが、macは使うことができる。この差は大きい。winを使うと、改めて macの偉大さを知ることができる。


m acには、「それを使いたいが為に macを買う」というようなキラーアプリが数多い。これもまた、皆が使っているから Wordや Excelを使わざるを得ないという winとは対照的だ。余談だが、私は Wordが死ぬほど嫌いだ。これで文章を書くときほど嫌悪感を覚えることはない。私の NTでは ".DOC"を開くと WRITE.EXE(ワードパッド)を開くようにしてあるが、これは軽いし起動も Wordのそれと比べて断然に速いのでオススメである。簡単な文章を書くなら WZとこれで十分である。Word撲滅のためにも、Acrobatが日本でもデファクトスタンダードになることを願って止まない(そういえば、Acrobatは UNIXにもあるのだろうか?)。
話を元に戻そう。macで洗練されてビジネスのために winに移植された macアプリは数多い。Adobeのアプリはその筆頭だろう。CGを扱う人間で知らぬものはモグリと断言できる Photoshop、Illustratorを始め(どうでもいいが、Photoshop 4.0は 3.0までに慣れ親しんできたユーザーにはメチャ使いづらい)、デジタルムービーを編集するのには欠かすことのできない編集ソフト Premiere、最近は GoLive CyberStudioが力をつき始めているが、まだまだ行けると思われるホームページ作成ツール PageMill、Aldusから譲り受けた血筋を残し、更にパワーアップして帰ってきた DTPソフト PageMakerなどなど。そのすべては macという土壌があったからこそ、生まれたものばかりである。DTPといえば Quark XPressを忘れてはならない(これは winには無いが)。プリプレスをコンピュータで行う出版社で、macと XPressの無い会社はない!と断言できるほど、その業界では名を轟かしているソフトだ。
また極めてチンケな環境で win環境のコードしか吐かない、名前倒れで "Visual"からは程遠い VC++に対し、ついにというか私の知らぬ間に Metrowerksの CodeWarriorまでもが winに移植されたらしい。コイツはスゴイ。mac(68K, PPC, Rhapsody含む)を始め win(95/NT), Java, BeOSから、最近では Sun Solaris, SGI IRIXなどの UNIX、殆ど忘れられてしまったアトキンソンの Magic Cap(Telescript?)、更には USRoboticsの Pilotからおまけに PlayStation(!)まで吐き出す化け物みたいなコンパイラだ。しかも、こいつは C/C++, Objective-C, Object Pascal, Javaまでも解すという。CWのフレームワークである PowerPlantが MFCを駆逐する日も、そう遠くはない、、、であって欲しい(なお、某消費者団体が Microsoftに対し、Visual C++に "Visual"という冠詞を付けるのは詐欺行為に当たるのでないか、という訴訟を連邦裁判所に起こしているというホントのようなウソの話もある。私が溺愛する Delphiの爪の垢でも煎じて飲ませたい−ま、これは winだが)。


うそう。今回はホントはこの話に紛れ込ませて、Photoshop 4.0バージョンアップどうだ羨ましいだろう記念(色変えんなよ)として、その筋の方々に地団太を踏んでもらおうと思って草稿をまとめていたのだが、そんな私の些細な自慢話など鼻毛のように吹き飛ばしてしまうような出来事が発生した。我らがスティーブは一体どうしてしまったのだろう? macユーザーが「とある人物」と「とある会社」の次に嫌っているという Oracleのラリー・エリソンが、何と Appleの役員になってしまったのだ!というような話も吹き飛ぶビッグニュースだ(この項続く)。


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